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Everyday life

赤い手ぶくろ

The Red Glove

C2 · Proficient · 1 min read

ある雪の朝、橋の上に赤い手ぶくろが片方だけ落ちていた。白い雪の中で、とてもあざやかで、落とされた小さな旗のようだった。手のひらを上に向けて、何かをたのんでいるようにも見えた。学校へ行くとちゅうの男の子が、それをひろって、持ち主が見つけられるように手すりにかけた。しばらくして、急いで仕事に向かう女の人が手ぶくろに気づき、もう少し高いところ、街灯にかけかえた。そうすれば、もっと遠くから見えるからだ。次の日、お店を開けに行くとちゅうで橋を通るパン屋さんが、メモをそえて、それをフェンスにとめた。メモには「これは、あなたのですか」と書いてあった。

何週間かたって、雪がとけた。春のある日、ヌールという女の子がフェンスの前を通りかかって、立ち止まった。女の子は、すぐにその手ぶくろがわかった。おじいさんの手ぶくろだった。おじいさんは冬にそれをなくしたが、「さびしい」と人に言うのがはずかしかったのだ。ヌールは手ぶくろを家に持って帰って、もう一度おじいさんの手にのせた。おじいさんは何も言わず、ただ手ぶくろを何度かひっくり返してながめた。まるで、何かかけていないかをたしかめるようだった。手ぶくろを動かした人たちは、だれも、このお話のおわりを知らなかった。それでも、いいお話だった。みんなが、その一行ずつを書いたのだから。たがいに会うこともなく、親切というかざらない筆跡で。

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