ぼくは、いとこの結婚式におくれてしまった。どこへ行くときも、ぼくはだいたいこうだ。だから、ずっと走りつづけた。大きな会場のドアを押し開けて、後ろの方に空いているせきを見つけると、何時間も前からそこにいたような顔で、みんなといっしょに手をたたきはじめた。人々はぼくに笑いかけ、あく手をしてくれた。ある女の人は、ぼくの両ほおにキスまでしてくれた。ぼくは、なんて親切な家族だろうと思ったのを覚えている。
そのとき、花婿のおじさんがにこにこしながらやってきた。「あなたは花婿の友だちですね」と、おじさんは言った。「ひとこと、お願いします!」ぼくが答える前に、おじさんはぼくの手にマイクをにぎらせ、会場じゅうの人がぼくのほうをふり向いていた。そこで、ぼくは思いついたたった一つのことをした。即興で話したのだ。愛とサンドイッチの話をした。どちらも、人と分け合うとずっとよくなるし、いちばんよいものには、いつも小さな驚きが入っている、と言った。みんなは笑い、何人かは泣き、ぼくは九十秒ほどのあいだ、自分が本当にかしこい人間になったような気がした。
すわってからやっときちんと花嫁を見て、ぼくは生まれてから一度も会ったことのない人だと気づいた。まちがえた結婚式だったのだ!いとこの結婚式は、となりの部屋だった。ぼくはこっそり出て、そこまで走り、まったく同じスピーチをした。二度目のほうがもっとうまくいった。両方の家族が歓声を上げ、ぼくはケーキを二切れ持って、家に帰った。道にまよったごほうびにケーキをもらった、たった一人の男として。